ER-症候別

小児のWheeze、呼気性喘鳴

【Red flags(緊急性の高い疾患)】

以下の疾患は緊急対応が求められます:

  • アナフィラキシー
  • 気道異物
  • 心疾患(心筋炎、心筋症、先天性心疾患 など)
  • 縦隔腫瘍
  • 肺出血

【年齢別のCommonな疾患】

■ 1歳未満

・細気管支炎
・肺炎
・誤嚥性肺炎
・胃食道逆流(GER)
・CLD(慢性肺疾患)
・嚥下障害

■ 1~3歳

・細気管支炎(2歳未満)
・気管支喘息
・肺炎
・誤嚥性肺炎
・CLD

■ 4歳以上

・気管支喘息
・肺炎
・CLD


(2)気道異物

  • 異物の73%は気管分岐部に存在(日本小児呼吸器学会雑誌 2018;29:114-121)
  • wheezeの出現は40~73%(『こどもの外科救急』2019, pp177-184)

🔍 Holzknecht sign

  • 片側に異物が入ると、逆止弁効果で患側が過膨張する

✅ 聞くべき情報

  • 誤飲エピソード
  • 咳嗽の有無や性状

(5)縦隔腫瘍

  • 前縦隔腫瘍では仰臥位で気管圧迫 → 呼吸困難・喘鳴
  • SVC症候群(顔面や上肢の浮腫)も併発しうる
  • 画像検査で仰臥位にする際は注意!

(6)気管支喘息

① 聴取すべき情報

  • 発作の日内変動と直近の発作
  • 服薬状況・アレルギー歴
  • 家族歴
  • トリガー(運動など)
  • 生活環境(ペット、喫煙者、空調など)

② 重症度分類

  • 小児気管支喘息治療・管理ガイドラインを参照

③ 治療方針

1)β2刺激薬吸入

  • メプチン0.3ml+生食5〜10ml(±インタール1A/2ml)
  • 最大3回まで反復吸入可

2)ステロイド i.v./p.o.

  • 中~大発作時、β2吸入が無効なときに使用
  • 発現まで約4時間かかる
  • 経口でも静注でも良い(バイオアベイラビリティが高いため)
  • 静注:プレドニン or ソルメドロール 0.5-1mg/kg
  • 内服:デカドロン 0.3mg/kg/day(分1〜2) ※ソルメドロールには乳糖含有 → 牛乳アレルギーに注意

3)マグネシウム製剤

  • 0.2-0.5mEq/kgを30分以上かけてゆっくり投与

④ 帰宅基準

  • SpO2 > 97%
  • 喘鳴なし、呼吸様式・数が正常
  • 肺炎などの合併症なし
  • トリガーの除去が可能 → 一つでも満たさなければ入院観察が望ましい

(7)細気管支炎

  • 主に2歳未満に多い
  • 初期は**上気道症状(咳・鼻水)**から始まる
  • 2-3病日で**下気道症状(wheeze/crackles/努力呼吸)**へ進行
  • 3-5病日がピーク1ヶ月以内に改善

🔬 検査・対応

  • 基本的に血液検査やX線は必須でない
  • VSや全身状態を重視

❗ 無呼吸のリスクファクター

  • 生後8週以内(早産なら修正8週以内)
  • 低出生体重児
  • 保護者による無呼吸の目撃
  • 頻呼吸(>70)・徐呼吸(<30)
  • SpO2 < 90%

💊 治療

  • β2刺激薬吸入、アドレナリン吸入、ステロイド全身投与など
  • ただし基本的には不要なケースが多い
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aas
野戦寄りの病院で救急医をしております。

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