syndrome malin/ Neuroleptic malignant syndrome; NMS
【1】原因
ドパミンアゴニスト中止
ドパミン拮抗薬(抗精神病薬(クロザリル、リスパダール、アモキサリンetc)、制吐薬(メトクロプラミド))の増量、開始→高プロラクチン血症やparkinsonismもoverlapすることに注意
【2】病態と症状
上記2つの薬剤のせいで起こる視床下部のドパミン受容体抑制による。
Neurolepticは抗精神病薬のこと。
大脳基底核は運動を抑制する方向にコントロールしており、神経伝達物質であるドパミンはその抑制を緩和する方向に働く。
ドパミンが急激に減少するもの→運動抑制を亢進させる→筋収縮亢進(=ミオクローヌス)
抗精神病薬服用患者の0.1~0.2%に生じ,投与後24時間以内の発症が16%,1週間以内の発症が66%,30日以内の発症が96%と大半を占め,30日以降の発症は4%と少なくなる.病態の機序はいまだ不明のままである.抗精神病薬のなかでも,特にハロペリドールを代表とする定型抗精神病薬での発症が多いが,抗ドパミン作用の比較的弱い非定型抗精神病薬でも生じることもある.
症状→筋強剛、(40℃を超える)発熱、無動、横紋筋融解、失禁、反射低下、意識障害
これらの症状がでたら セロトニン症候群をも鑑別にあげること
【3】d/d
・ セロトニン症候群
・甲状腺クリーゼ
・アルコール離脱
・ベンゾジアゼピン離脱
・カタトニア
・髄膜炎
治療法が異なり、同様にかなり重篤な病態になりうる疾患が多い。
特にセロトニン症候群は筋強剛の有無、time course以外(24時間以内のセロトニン症候群と比して、1週間程度とやや緩徐にすすむ)には鑑別するポイントが少なく、難しいので注意すること。
【4】Caroffの診断基準
以下5つをすべて満たす
①発症7日以内の抗精神病薬使用
②38度以上の高熱
③筋強剛
④以下のうち5項目
意識障害・頻脈・振戦・尿失禁・白血球増多・代謝性アシドーシス・頻呼吸や低酸素血症・発汗や流涎・CK上昇やミオグロビン尿
⑤他の薬剤性、全身性、精神神経疾患の除外
ただ、これは厳しすぎるため、Levensonが診断基準を再構築している
大症状3項目もしくは大症状2項目+小症状4項目
[大症状]①発熱②筋強剛③CK上昇
[小症状]①頻脈②血圧異常③頻呼吸④意識障害⑤発汗過多⑥白血球増多
【5】治療
(1)軽症例
・抗精神病薬の減量や中止
・輸液+クーリング
・ジアゼパム筋注
・ロラゼパム内服
(2)中等症ー重症例
・抗精神病薬の減量や中止
・輸液
・ダントロレンもしくはブロモクリプチン(重症例は併用)
①ダントロレン 25-50mg 1日3回(p.o.)
基本はIV
初回1-2.5mg/kg、1日最大投与量は10mg/kg
i.v.の場合、生理食塩水、ブドウ糖液への溶解は禁忌であり、注射用水に溶かして落とす。重篤な肝不全の副作用(800mg/day以上はリスク)があるため注意。
腎機能低下による調整不要。
また症状消失した場合ぶつ切りは禁。10-14日投与し、数日から数週間かけて漸減する。
②ブロモクリプチン2.5mg q6-8hr 7-14days(p.o.)
※本邦では適応外使用