成書をあまり読むような人間ではないが、数少ない中から救急・集中治療の現場で、実際に手が伸びる本を場面別に。
1まず、土台の1冊
ガイトン生理学 原著第13版
John E. Hall/石川義弘・岡村康司・尾仲達史・河野憲二 監訳/エルゼビア・ジャパン
「おすすめの医学書は?」に“ガイトン”と答える上級医は、正直に言えば私はあまり好きじゃない。……だが、ダントツでこれ。どの記事でも(心不全とか)生理学的な部分にうるさいのは、全部この本のせい。学生時代に授業を聞いていなかったぶんを、独りで盛り返すことができた史上最高の一冊。生理学の“なぜ”がここで全部つながる。原著(英語)で読めれば最高だが、翻訳でもいいから通してほしい。集中治療でも初療でも、直感で一元論reasonableに行かなかったとき、生理学は必ず助けてくれる。「わからん!」に道標をくれて、それがほぼ間違っていない。真っ当な医療をするために、生理学はmust。
こんな人に生理学を土台から立て直したい学生・研修医
2所見の“読み方”を鍛える
神経内科ケース・スタディ ― 病変部位決定の仕方
黒田康夫/新興医学出版社
薄いのに、中身が死ぬほど濃い。神経・脳卒中を「部位と所見のリンク」で考える癖をつけてくれたのはこの本。局在診断の頭の作り方が身につく。
こんな人に神経の局在診断を一から鍛えたい人
CTパターンから理解する呼吸器疾患(改訂第2版)― 所見×患者情報から導く鑑別と治療
門田淳一・小宮幸作/南江堂
通読して、やっと“最低限は読めるかも”に届くくらい。読むほど奥深さを思い知らされる。胸部CTを読むなら必読。内科医はもちろん、CTに向き合うすべての科に。
こんな人に胸部CTを読むすべての人(内科に限らない)
急性腹症の早期診断(第2版)― 病歴と身体所見による診断技能をみがく
William Silen 原著(Cope’s)/小関一英 訳/医学書院
急性腹症で迷うたびに、「結局Cope’sなんだよなぁ」に戻ってくる。病歴と身体所見だけで詰めていく思考が、何年経っても古びない——一生“化石”にならない一冊。ガイトンと違って、これは翻訳版でぜんぜんいい。
こんな人に急性腹症を診るすべての救急・外科・内科
3進路が決まったら、初期に読破したい1冊
卒後10年目 総合内科医の診断術
石井義洋/中外医学社
読んだのは初版。当時は“すごい本”という感覚だったが、年次を追いついて、これを“10年目”で書いたことのバケモンぶりを実感する。救急であれ内科であれ、進む道が決まっているなら、初期のうちに読破してほしい。
こんな人に研修医〜若手/総合診療・救急・内科に進む人
4番外:最初に持ちたい道具
ケンツメディコ ステレオフォネット No.171
ケンツメディコ(KENZMEDICO)/自分が使っていたモデル
本ではないが、初期のうちに買っていい“道具”。私が実際に使っていたのがこれ。若いうちからちゃんと聴くこと——それが、真っ当な医者になる一番の近道だと思う。
こんな人にこれから聴診を鍛える研修医
